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ビジネスエンジニアという仕事

ビジネスエンジニアリング本部

Daisuke Shibata

商学部

企業組織の困りの最前線 = 「何をすればよいかわからない」という困り

どの企業の中にも、次のような困りごとがあります。
「販売量やシェア追求の先に将来の成長見通しが立たない」、「社員の成長速度・成長意欲が減衰しているように感じる」、「自社の根幹である強みが揺らいでいるように思える」……
これらの困りは、誰にでも認識可能な形で突き付けられているわけではありません。客観的な根拠を示せと言われても出せない、そんな漠たる“危機感覚”と共に、心ある企業人は日々を生きています。
困りの実態は非常に不明瞭で、かつ原因が複雑に入り組んでいますので、何をすれば良いのかわからない。しかし、何もしないわけにはいかない……。そこで組織の未来に真剣な人が「何か」を始めます。とりあえず、動きながら、考えようとします。その時「伴走者」や「先導役」が欲しくなる心理は、想像に難くありません。
このような背景から、オースビーへの要請はこの数年で様変わりしました。
「新しい事業の仕組みを構築したい。が、仕組みそのものが欲しいのではない。社員の意識を変えたい……」。
「組織目標を達成するためのリソースが欲しい。人の頭数ではない。目に見えないリソースが必要だ……」。
企業組織の最前線に生じるこういった困りは、普段は組織の中で眠っています。この困りを浮かび上がらせるところから、ビジネスエンジニアの仕事が始まります。
我々は、営業段階から何度も顧客に「組織としての真っ当な姿」「仕事人としての真剣なあり方」を求めます。
どの顧客の中にも「自社を何とかしたい」と思われる方が必ずいらっしゃいます。徐々に、そういった方々が心の内に眠らせてきた切実な困りが、様々な言動を通じて滲み出てきます。それは、五感を研ぎ澄まして感じ取ろうとする中で初めて感知できるものです。そして今度は、感知した非言語の思考・感覚・情動を、言語化する力量と努力が求められます。言語化した困りに対し、顧客と相互にさらなる言語化努力を重ね、現実に即した、多くの人に共有可能な問題認識として明確化します。この過程を踏む中で、顧客の未来を共に追いかける協働関係が生まれます。

思索と行動的摸索が生む熱 enthusiasm

つまり、オースビーの改革では、言語化されていない顧客企業の声を掬い取る必要があります。従って、顧客から受けた自社認識や問題認識等の説明をそのまま活動の前提にはせず、事業・組織の実態把握から始めます。関係者からのヒアリングも密に行いますが、公式・非公式に得られる情報、現場で見聞きするあらゆる情報を取り込んで、我々の頭の中に顧客の現実を浮かび上がらせようとします。深く沈み込むような自問自答が続きます。「A社はなぜA社なのか、A社はどこへ向かうのか、眼前の出来事は何の問題か、問題の真因は何か、我々がA社に対してすべきことは何か?……」。
こういった思索と並行して実践している「行動的摸索」があります。
ある専門商社の情報戦略部門を立て直すプロジェクトを立ち上げた当初、私は業務再構築と「部門の求心力づくり」に向けた道筋を構想していました。そういった思索過程のある日、顧客のオフィスを見てふと浮かんだ「放っておいてはならない」という感覚に従い、執務スペースからコンピュータールームまでを徹底的に清掃・整頓して頂きました。共に埃を落とし、窓を拭き、契約書類をはじめとする膨大な資料を全て整理・ファイリングする中で、仕事空間におおやけ性と緊張感が生まれた気がします。この「行動的摸索」を今意味付けるならば、「物理的秩序の形成は、論理的(情報的)秩序、さらには精神的秩序の前提となる」という人間行動の原理に沿った、改革の起点となる行動であったと言えます。
そして、こうした思索と行動的摸索を幾度も重ねるうちに、焦点が定まる瞬間が必ず訪れます。「A社はこうでなければならない、こうするしかない」という確信と同時に、揺るぎない、熱を帯びた仕事の原動力(enthusiasm)が生まれます。この原動力が顧客を改革へと進ませます。

求められるは、超級ゼネラリスト

こういった改革を担うオースビーの社員は、全員がゼネラリストです。
ゼネラリストとは、あらゆるスペシャリティを自らの中に取り入れることに一切の躊躇を持たない人を指します。困りを抱えた企業組織には、問題に手を打つために必要なスペシャリティ(専門知識や要素技術)は実は十分に存在しています。ただし、それらの知は各所に散在しています。各専門領域の隘路で行き詰まり、統合不全を起こしているのが現代企業組織の問題の構図です。
日々新たに発生し続ける問題を「既存の知識を基に対応できる問題」と「既存の知識では対応できない問題」に切り分け、前者に既存の知識に精通した人(スペシャリスト)を適用し、後者も含めた問題全体の扱い方を考えるのがゼネラリストの果たす役割です。この過程で、必要なスペシャリティは当然の如く理解・吸収していきながら、常に「全体」を再定義し続けます。私はオースビーのビジネスエンジニアとして、いつでも、どの顧客現場でもその立ち位置で仕事をしてきました。
“General”という単語は「広く、浅く、それなりに」ではなく、総合的・原則的・普遍的なあり様を形容します。名詞形では「将たる器」を意味します。必要となったスペシャリティを都度付け足していく状況適応的ゼネラリスト(=複数領域のスペシャリスト)ではなく、古今東西の人類の叡智を貪欲に・無差別に吸収し現実深耕していく「超級ゼネラリスト」を目指しています。

理想の現実的追求

別の角度から言えば、オースビーのビジネスエンジニアは理想主義者です。ただしこの理想主義者は観念的理想を論じる人ではなく、社会現実の中での理想追求を旨とします。即ち、理想は実現するための理想です。
現実的理想追求は時間軸を持った戦いです。組織の中で起こる出来事は全て、理想から遠ざかる危機であり、同時に理想に近づく好機です。無数に起こる組織の危機と好機をどれだけ認識し、能動的に仕掛けるかがビジネスエンジニアの腕の振るいどころです。
理想を追求する時間軸の中には、失敗も成功もありません。ある出来事を失敗と見れば次には回避が生まれ、成功と見れば次には踏襲が生まれます。いずれにしても、パターン化と不自由化が生じます。
人は成功/失敗という判定をしたがります。この心の動きは本能的に深いところに刷り込まれています。これに抗い、掲げた理想に向かって常時その時点で最善の手を決め、仕掛け、組織を動かしていきます。
どの顧客にもその顧客の理想の姿があります。一方、世の企業を跨って私が理想とする企業の姿があります。私の理想は、欧米の後追いではない、かといって懐古主義的ではない「新(真)日本型組織経営」を確立することです。この理想に向かい、日々邁進しています。

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未来をつくる意志

統合・推進本部

Sotaro Takei

法学部 2019年入社

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概念を力に変えるエンジニアリング

ビジネスエンジニアリング本部

Takuji Funada

国際文化学部